エリート自由工作の舞台裏

どうも三条海斗です。

今回、さくらみこさんが主催する、「エリート自由工作」企画に参加しました。残念ながら、受賞には至らなかったのですが、作ったけど省いたスライドを発表する場として、この記事を書くことにしました。ちょっと長めですが、お付き合いください。

今回のエリート自由工作では、赤外線撮影に挑戦しました。ほぼ初めてのことだらけでしたので、至らないところも多々ありますが寛大な心で見ていただければ幸いです。

・完成品

こちらが完成品です。さくらみこMMDモデルと編集した赤外線写真を合成しています。見てわかる通り、草木の緑色がさくら色をしていると思います。これこそが赤外線撮影の特徴であり、また「さくらみこ」に関するものと考え、今回の企画で挑戦させていただきました。

・はじめに

それでは、今回の企画を行う上での目標と、企画に参加するに至った動機についてです。今回の目標としては三点あります。

一つ目はもっとも重要な、「赤外線撮影をして幻想的な写真を撮影する」ことです。

二つ目は「なるべくお金をかけない」ことです。これは3つめの理由に関連しますが、今回は新たに用意した機材以外は手元にあるものを使用することを大前提としています。

三つめは「夏休みの自由研究っぽくする」ことです。今回の企画の意図である、「学生時代の自由研究」を最大限に尊重することを目標としています。

今回参加するに至った動機としては、たまたまカメラモジュールを手に入れたため、それを使用したことをしてみたかったことが大きな理由です。

そんな折、自由工作企画を目にして参加することにしました。また、カメラモジュールを使う上でPythonを使う必要があったため、Pythonを触るいい機会と思いました。

最大の理由としては、赤外線写真が滅茶苦茶撮りたかったんです。

・今回使用した機材

今回使用した機材でメインとなるのは、Raspberry Pi 4 Model BとNoIR CameraModuleです。Raspberry Piはシングルボードコンピュータというカードサイズの小さなコンピュータです。Linuxとかが動きます。NoIR Camera ModuleはRaspberry Piに接続する赤外線カメラになります。今回はこの2つの機器を組み合わせて、スマートフォンで撮影できる赤外線カメラを作ります。

なお、当たり前ですがRaspberry Piを起動させるのには電源がいりますが、今回はモバイルバッテリーで代用しました。ネットワーク接続も手持ちのモバイルルータでLANを構築して接続します。

ソフトウェアに詳細は今回は省略します。(上記以外にもいろいろ使っているため)

・赤外線写真って?

そもそも赤外線写真って?という方に軽く説明します。

赤外線写真とは、赤外線フィルターを介して可視光線(目に見える光)を遮断し、近赤外線を使用して撮影した写真のことです。

赤外線を使用して撮影しているため、撮影した写真は赤みがかった写真になります。赤外線フィルターを使用すると赤色はさらに濃くなります。今回用意したフィルターが強すぎて、スライドにある通り、赤を通り越して紫になってしまいましたが……。また今回の赤外線カメラのように、赤外線フィルターがいらない場合もあります。

この赤外線写真をカラースワップという技術を用いて編集すると緑の葉がピンク色になり、桜の木のような彩になります。NoIR Camera Moduleを使うことで赤外線撮影をすることできます。

・ネットワーク構成

今回のネットワーク構成です。ここから専門用語もでてきますが、「そういうものかぁ……」と思って聞き流してください。興味を持ったらぜひ調べてみてください。

今回はスマートフォンのGoogle Chromeからモバイルルータを経由して、Raspberry Pi で動作している撮影画面「えりーとかめら」にアクセスします。

「えりーとかめら」と「mjpg-streamer」に関してはNginxのリバースプロキシを使用します。Raspberry Pi はモバイルバッテリーで駆動させる想定です

・機材の組み立て

それでは機材の組み立てです。

まずRaspberry Pi にカメラモジュールを接続します。接続出来たら、カメラを使用できるように設定を行います。今回はRaspberry pi OS LiteというOSを使用しました。

カメラが使えるよう設定出来たら、ネットワーク設定をしてIPアドレスを固定します。最後に動作確認を行い、問題なくカメラが動作することが確認出来たら組み立て完了です。

・ソフトウェアのインストール

機材の組み立てが終わったらソフトウェアをインストールします。

初めに、mjpg-streamerをインストールし、バックグラウンドで実行できるようサービス化します。

続いてPythonのフレームワークであるDjangoをインストールします。インストール完了したら、プロジェクトを作成して、撮影画面「えりーとかめら」を作成します。今回、撮影画面はさくらみこさんの巫女衣装をイメージして作成しました。

画面ができたら、撮影処理をプログラミングします。最後にWebサーバであるNginxをインストールしてリバースプロキシの設定を行います。アクセスをして画面が正常に表示されることを確認出来たら、ソフトウェアのインストールは終了です。

・撮影

ここまで準備が出来たら、いよいよ撮影です。

撮影は晴天で、昼間で、日差しが強いという条件をすべて満たしやすいこの季節が最適です。また、赤外線撮影の特徴を生かすため、自然がある場所を選択します。なお、赤外線撮影は各自治体の迷惑防止条例違反になる可能性もあるため、撮影場所は慎重に選びます。スライドの写真は無編集状態の赤外線写真になります。

・編集

写真が撮影出来たら、Lightroomで撮影した写真をカラースワップを用いて編集します。編集ができたら、MMDでモデルにポーズをとらせます。今回はポーズデータ素材を使用しました。それぞれの画像をGIMPで合成します。この時、色味や画像のサイズなどを調整します。違和感を感じたら、ポーズを変更するなどして調整します。

スライドに画像は一番初めに作ったバージョンです。なぜ完成品の「迷子のみこち」にしたかというと、「ポン感が足りないなぁ……」と感じたため、試行錯誤した結果、しっくり来たのが、「迷子のみこち」でした。

・放置した課題

今回の自由工作で発生しましたが、結果的に放置した問題を課題として挙げさせていただきます。

一つ目は「えりーとかめら」が時々エラーが発生して自動起動してないことです。

ログを確認すると再起動ループ……いわゆる起動時にポンしてプログラムが落ちてました。こちらは原因も特定できなかったので、これも「エリート」の宿命なのかなぁ……と思い、諦めました。いつかは原因の特定までしたいです。

二つ目はピントの調節の手間です。

オートフォーカス機能がカメラモジュールにはないので、ピントの調節は手動なのですが、ケースの問題で一度分解する必要がありました。今回は、ピントの調節のためにケースを変更するより三脚が使えるメリットの方が大きかったので、そのままとしました。

・わかったこと

今回の自由工作でわかったことは、Raspberry pi OSの使用メモリがすごく少ないことです。起動してえりーとかめらを使用する一連の流れまでおおよそ、110MB程度でした。こちらはGUIなしのLite版や専用のOSということが大きく影響していると考えられます。今回は4GBモデルを使用しましたが、最廉価である1GBモデルでも問題なく動作しそうです。

次にモバイルバッテリーでも動作することです。Raspberry Pi 4から必要な電源が大きくなりましたが、それでも問題なく動作しました。今回は接続しているものがカメラモジュールだけというのが要因と考えられます。

・総評

まず失敗した点として、用意した赤外線フィルターが強すぎた影響もあって、カラースワップがうまくできませんでした。また、撮影時に合成時のことまで考えた構図が意識出来てなかったことも失敗の一つです。赤外線フィルターについては、用意したものから3段階くらい弱いものが最適だということが判明したため、ある意味いい失敗だったとも言えます。

実際の撮影で困ったところは、モバイルルータの通信速度を考えていなかったことです。当然ながら自宅のWifiと速度が違い、カメラから配信される映像がかなりカクツキました。

良かったところは、まず赤外線撮影が楽しいところです。撮影した段階では、出来上がりが予想できないので、「どうなるかな……」とワクワクしてました。以前から興味のあったPythonで画面を作成できたことも自身では評価できるかなと思います。

また、提出されているクリエイターの方々と比べて数段階もクオリティは低いですが、目標を達成しつつ完成までやり遂げられたことは良かったと思っています。

いろいろ失敗もありつつ、そのたびに試行錯誤しつつ、という自由工作でしたが、この企画に参加できてとても楽しかったです。

この機会を用意していただいたことを、この場を借りてお礼申し上げます。

・使用素材

今回のエリート自由工作で使用させていただいた素材・ツールです。画像でのクレジットで失礼します。(敬称略)

・最後に

作成したスライドですが、本当はOpen JTalkという音声合成ツールを使って動画とする予定でしたが、時間が取れず……。せっかくなので、記事とさせていただきました。

今回かかった金額は4000円くらいでした。(Camera Moduleと赤外線フィルターがそれぞれ2000円くらい)機材を1からそろえても大体1万円ちょっとかなと思います。一番お金かかるのがRaspberry Pi本体ですね。

せっかく赤外線カメラと赤外線フィルターを用意できたので、また挑戦したいなと思います。

では、この辺で。

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